一緒に、歩こう
「そうか、彼氏か…」
1人ぶつぶつ言うお父さんに、
あたしは新鮮さを感じ、
小さく笑う。
「母さん、ビール」
「え、お父さん飲むの?」
ビール、という言葉に
少し驚いて制そうとすると、
すかさずお父さんは
言葉を発した。
「打ち解けるにはビールだろ」
「や、でも…」
きっと飲めるだろうけど、
隼人はまだ未成年。
あたしとしては、
飲ませたくない。
「もう飲めるだろ、酒くらい。隼人くんだったかな?歳はいくつだ?」
「18歳です」
隼人がそう答えると、
お父さんは目をパチクリさせて
隼人の顔をじっと見つめた。
「何の冗談だね?」
はっはっは、と今日初めて
笑ったお父さん。
あたしは逆に笑えず、
その場に固まる。