一緒に、歩こう
「何、泣いてるの?」
「キャベツが目に染みたのね」
あー、痛い痛い。と。
呟きながら千切りをしている。
あたしはもらい泣きをしたのか、
鼻がつーんと痛くなった。
「ちょっと出てくるね」
あたしはリビングを離れ、
外に出ることにした。
変なの。付き合ってること
言いに来ただけなのに。
結婚する娘を見てるみたいに
お母さんは嬉しそうな顔するし。
お父さんだって気難しい顔してたし。
「あ~、親って大変だな」
見慣れた風景を、
とぼとぼ呟きながら
歩く。
小さな石を、
蹴飛ばした時。
「芽衣子?」
後ろから、あたしを呼ぶ
声が聞こえた。