一緒に、歩こう





「俺、やっぱりさ」




いつの間にこんな時間

経ったんだろう。

冬は夜になるのが早いけど、

まだ夕方の5時なのに

外はうっすら暗くなっている。

そんな中、変な感じがした。

向けられる視線が、

熱いなって。





「諦めらんねぇわ」





竣はそう言って、

あたしの手を引いた。

ぎゅって握られる手には、

竣の温もりが伝わってくる。






「竣?」




「教育実習に行った時にも言ったけど。まだ芽衣子が好きなんだよ」





再び想いを告げられる。

今回はそんなに動揺しなかった。

なぜだろう、多分。

もう気持ちに揺らぎがないから。





「矢野に負けたくないし、俺の方が芽衣子を好きだって証明してみせるから」





何で、そんなに

ストレートにぶつけられるの。

こんなあたしなのに、

何でまだ想えるの。





< 419 / 497 >

この作品をシェア

pagetop