一緒に、歩こう
「もう1回だけ考えてくれな…」
「んとに諦めの悪い男だな、てめーは」
あたしを握る竣の手が、
強くなった時。
反対から大きな手が、
あたしの空いている腕を
引っ張る誰か。
「え、」
誰か、なんて。
そんなの誰か決まってるんだけど。
分かってるんだけど。
いることにびっくりしちゃって。
一瞬声が出せなかった。
「隼人、何でここにいるの?」
「お前いないから探しに来たんだよ」
ったく、とため息をこぼし、
隼人は竣を軽く睨む。
「矢野と、来てたのか」
「あ、うん。実家にね、ちょっと…」
「報告しに来たんだよ」
隼人がいることに驚いている竣と、
この場をどうにかしようと
あたふたしているあたしと、
強気で俺様でほろ酔いの隼人。
あたし達は異色の3人で
家の近くで佇んでいた。