一緒に、歩こう
「お母さんもお父さんも飲み過ぎだってば」
机の上にも、横にも、
空いた缶が散らばっていた。
「もう…」
あたしはその缶を片付け、
机の上を綺麗にした。
まだお父さんとお母さんは、
2人で語っている。
「隼人、そろそろ行く?」
「そうだな、遅くなると悪いし」
あたしはそう声をかけると、
荷物を持って立ち上がった。
「あたしもう行くね?」
「お邪魔しました」
お父さんとお母さんは、
もう行くのかと残念そうに
顔をしかめ、玄関まで
見送ってくれた。
「また来ます」
車の助手席で、頭を下げる
隼人に対し。
「娘を頼みます」
お父さんは深々と頭を下げ、
あたしの車が見えなくなるまで
玄関の前で見続けていてくれた。