一緒に、歩こう
「県外の大学に行くって決めたのは、あたしから離れるためだったって言ってたけど。本当は他にも理由あるんだよね?」
優しく、諭すようにそう伝えると。
隣にいる隼人は、うん、と
小さく言った。
それがどこか儚くて、切なくて。
あたしは隼人を包み込むように
抱き締めた。
「離れるのはさ、すごく怖いし寂しいけどね。不安もあるけどね」
でもあたしは。
絶対負けない。
こんなにも愛してるんだもの。
簡単に手離せるわけがない。
「あたし達は大丈夫よ」
そう言うと。
「大丈夫じゃねぇよ」
隼人が一言そう返してきた。
「離れるんだぞ?簡単に会える距離じゃねぇんだぞ?大丈夫って、何の保障があって言えんだよ」
あたしの胸の中で。
あたしを力強く抱き締めて。
隼人は必死に、あたしに
訴えかけてくれた。
「何言ってるの、隼人」
あたしはその訴えに。
真剣に答えてあげたい。