一緒に、歩こう
「あたしは、半端じゃない気持ちで隼人が好きよ?愛してるの」
ゆっくり頭を撫でる。
赤ちゃんをあやすように、
静かにゆっくり。
「会えないから、終わっちゃうなら。本当の恋じゃない。距離が離れても、心が離れちゃうわけじゃないでしょ?」
あの夜、紗夜に気付かされたあたし。
今度はあたしが、隼人に伝えたい。
「あたしは隼人とずっといたい。やりたい仕事をして、頑張ってる隼人といたいの」
こんなに言うのは、
もしかしたら彼のプレッシャーに
なってしまうんじゃないかって。
会えない間、そう思ったりもした。
だけど、思いのままを
伝えたかった。
「会いに行くし、会いに来て?あたしの気持ちは、ずーっと、変わらないよ」
そう言うと。
抱き締められる力が更に強くなって。
「分かった」
そう言ってくれた。
隼人が、納得してくれた。
「本当?」
「芽衣子、いっぱい考えさせてごめん」
「いいの。伝えたいこと、言っただけだから」
「ありがとう」
2人の温もりが混じるベッドで。
彼はあたしを、愛してくれる。
あと2ヵ月後には、彼はもう
この街にはいない。
九州の方に行くまで、
後、何回会えるだろう。
後、どれくらい一緒にいられるのだろう。
そんなことばかりを考えながら。
肌に触れる隼人の温もりを、
静かに感じていた。