一緒に、歩こう
絵馬の下の方に、
ずっと、と書いてしまっていた。
やばい。
そう思っていた時には
もう遅くて。
「お前、ずっとって何だよ」
「いや…、えっと、あの」
言い訳出来ない。
何を書いてるんだろう、あたし。
どうしよう。
そう思っていた時。
「貸せ」
あたしの手に持っていたネームペンを
強引に奪い取ると。
「これでいいだろ」
隼人は、ずっとの後に。
一緒にいたいです。と書いた。
「帰るぞ」
寒いな。と愚痴をこぼす。
あたしは、もう。
「芽衣、子」
「ごめんね、隼人…訳分かんないよね」
寂しくて寂しくて、
どうしようもなかった。
「おいで、芽衣子」
「ん」
優しく差し出された手に、
あたしは縋り付いて
車まで歩いた。
あたしは子どもみたいに
嗚咽しながら蚊の鳴くような声で、
ごめんねと言いながら歩いた。