一緒に、歩こう
「泣き止めって」
「ごめん、」
車に乗って、少し黙り込む。
ありえない。
背中を押したあたしが。
引き止めようとしてるなんて。
口が裂けても言えない。
「芽衣子」
背中をさすってくれてる隼人が、
いきなりまじめな声を出す。
あたしは声も出せず、
下を向いた。
「何で泣いてるの?」
「何でもないよ?」
あくまでも、何でもない
ふりをする。
涙を拭こうとした時。
頭を鈍器で殴られたような
衝撃が走った。
「これからもっと泣くと思う」
「え…?」
思いもよらない言葉に
あたしは呆気を取られた。
「寂しかったり悲しかったりして、死ぬほど泣くと思う」
「そんなの…、分かってる」
寂しくなるのも、
会いたくなるのも、
これから先何回だって
思うって分かってる。
あたしは、1人拗ねて
窓の外を見る。
「でもな?」
隼人は拗ねてるあたしに
優しく語りかけて。
や
「泣いてる理由教えてほしい」
そっぽ向くあたしを
そっと自分に寄せて。
「寂しい、とか。悲しい、とか。芽衣子が思うこと全部知りたい」
隼人の真剣さが、
ひしひしと伝わってくる。