一緒に、歩こう
16
あなたさえ
隼人の合格発表の次の日。
職員室には、担任に朝一で報告
しに来ている隼人の姿があった。
「本当!?」
「本当」
「嘘でしょ?!」
「やっぱり言った」
「え?」
「いや、何も」
隼人の予想通り、
嘘でしょと言った担任に、
あたしは心の中で
笑ってしまった。
「いや…すごいね、矢野。おめでとう」
「実力、ってやつですね」
「矢野、調子に乗ってると痛い目見るわよ?」
ご機嫌の担任に、
隼人は鬱陶しそうに
見ながら、教室行くわと告げる。
職員室を出る時、
隼人はあたしに向かって
"ばか"と口パクをして
出て行った。
「朝比奈先生、やったわね!」
「は、はい!」
やばい。見られた。
そう思って焦るあたし。