一緒に、歩こう
「いやー、あの矢野が合格だよ?世の中捨てたもんじゃないわね!」
「あはははは…、」
笑って済ます。
心の中では、失礼な人とか
思ったけど。
「朝比奈先生」
「はい?」
突然声をかけられる。
振り向くと、そこには。
「あ、緑山先生」
「すいません、ちょっといいですか?」
緑山先生は、生徒にすごく好かれていて、
人気のある先生。
先生同士も仲が良いし、
悪い人ではない。
けれど。
「はい?」
緑山先生に、去年、
交際を迫られたことがある。
もちろんその時も隼人が好きだった
こともあるし、第一あたしの好みじゃない。
だから、普通にごめんなさいと断った。
普段から接してないのに、
なぜあたしに好意を持ったのか、
疑問だったけど。
別に関係ないわ、と。
ずっと考えずに過ごしてきた。