一緒に、歩こう
「これが朝比奈先生じゃなくてもいいです」
「だから、違うんですって」
「でも言いよう、見方によっては、あなたにも見える」
あたしは、今。
危機的状況に立たされている。
だって、これ。
本当はあたしなんだもの。
「僕がこれをあなただと言って、ばらまいたら…彼の運命はどうなるのかな?」
「彼の、運命…」
そんなの。
決まってるじゃない。
隼人の運命は、
めちゃくちゃに。
なるかもしれないじゃない。
「これはあなたじゃない。だけど、あなたは矢野と親しいはず」
「確かに、あたしは彼のクラスの副担任で授業も受け持っていますし、話したりはよくします」
「そんな親しい矢野が、昨日大学受験に合格したそうですね」
それを聞いて。
固まってしまう。
先生、お願い。
それだけは。
それだけはやめて。
彼は、必死に頑張ったの。