一緒に、歩こう
「芽衣子」
放課後、準備室。
もう校舎には生徒の姿はない。
準備室にも、廊下にも、
誰もいないことを確認した。
「話って、何?」
「矢野くん、あのね」
家では話せなかった。
あの、思い出が詰まったあたしの
部屋で話しても。
きっと、嫌だと言われたら
あたしも嫌だと言ってしまいそう
だったから。
「ごめんなさい」
「何が?」
「あたしたち」
どう言い訳しても。
もうあたしが悪いのは分かってる。
「別れよう」
この一言を言うのが、
精一杯だった。