一緒に、歩こう








「朝比奈先生」





「あ…」





隼人に別れを告げてから数日。

1人で教室の掲示物の手入れを

している時。

にこやかに笑って

登場したのは緑山先生。





「考えてくれましたか?」





「…考えました」





緑山先生は、一歩ずつ

近付いてくる。

まだ入り口にいる

緑山先生とは教室の

端と端の距離。

だけど、その距離でさえも、

嫌悪感を抱いてしまうほど。

彼を受け入れられなかった。





「本当に、彼には被害を与えないと約束してくれますか?」





「もちろんです。ということは、僕のものになると…いうことでいいですか?」





息をのむ。

何でこんな男の言いなりに

なってるんだ、と。

自分を責めたりしたけど。






「写真は公開しない。被害を与えない。そう約束してくれるなら…」





"あなたとお付き合いします"

なかなかこの一言が言えなかった。






「おい」






その時。

あたしでも緑山先生でもない。

誰かの声がした。







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