一緒に、歩こう

小さな事件






9月に入ったのに、

まだ暑さが去らない日々が続く。

今日は新学期である2学期の

始業式がある。

あたしは式が終わると、

職員室で配布するプリントを

用意していた。

朝の教室には行っていない。

誰が出席で、誰が欠席かも

分からない状態の今。

まさに、まさかの出来事が

起こっていた。





「これでよし、と」




用意し終わったプリントを、

担任の席に置いた時。

職員室の電話が鳴り響いた。




「あ、出ますっ」




ちらほら戻って来られた先生に

一言声をかけ、受話器を手に取った。




「はい、もしもし。川西高校の朝比奈ですが」




『朝からすいません。川西警察署の者です』




…川西、警察署?

何で警察の人が電話?




『川西高校の2年生の矢野隼人という少年を保護していまして、』




「保護…、ですか?」



『詳しい話は署の方で致しますので、迎えに来ていただけますでしょうか』




「分かりました。すぐ行きます。失礼します」




受話器を置く。

耳が少し熱い。

…状況が読めない。

矢野くんが、何だって?




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