一緒に、歩こう





荷物はどうしよう、とか

色々悩んだけど。

生徒が春休みに入った時にでも

取りに来ればいいか、と思い

あたしは鞄だけ手に

家に帰ることにした。

帰りながら、もうみんなの顔を

見ることがないのかと思うと

少し寂しい気がする。

あんなになりたかった教師を、

どんな理由であれ、

こんなにも簡単に辞めて

しまえる自分がすごく

哀れに思えた。

よくお母さんに言われた

言葉を思い出す。

"恋は盲目だから。迷った時は冷静にね"

恋は盲目。

あたしは今、盲目の

状態なのかな。

自分のことなんて、

どうでもよくて。

もう隼人のことしか、

考えられずにいた。

本当に自分は、

哀れで情けない女だ。






< 480 / 497 >

この作品をシェア

pagetop