一緒に、歩こう
荷物はどうしよう、とか
色々悩んだけど。
生徒が春休みに入った時にでも
取りに来ればいいか、と思い
あたしは鞄だけ手に
家に帰ることにした。
帰りながら、もうみんなの顔を
見ることがないのかと思うと
少し寂しい気がする。
あんなになりたかった教師を、
どんな理由であれ、
こんなにも簡単に辞めて
しまえる自分がすごく
哀れに思えた。
よくお母さんに言われた
言葉を思い出す。
"恋は盲目だから。迷った時は冷静にね"
恋は盲目。
あたしは今、盲目の
状態なのかな。
自分のことなんて、
どうでもよくて。
もう隼人のことしか、
考えられずにいた。
本当に自分は、
哀れで情けない女だ。