一緒に、歩こう
夕方。
今日は何を作ろうかな、
なんて考えてた時。
「あ、電話…」
バイブの音で着信に気付く。
ディスプレイには隼人の名前。
「はーい、もしもし」
『もしもしっ、今どこ?!』
「今…、家だけど…?」
『向かってるから』
電話の向こう側で。
息を切らして。
あたしの愛しいあの人が。
走って来てくれている。
『ってか何だよ、あれ』
「あれ?」
『"お前の処分は無しだ。いつも通り生活するように"って。校長が』
「あー、うん」
そう聞かされて、ほっと一息。
約束通り、隼人に処分を
与えなかったんだと、
1人心の中で喜んだ。
『紗月に聞いた。辞表のこと』
白石先生の名前が出て、
内心驚く。
辞表のことは追々話そうと
思ってたのに。
やっぱりそこは、
話が通っちゃうのね。