一緒に、歩こう
17 最終話

一緒に、歩こう






空は雲1つない晴天。

卒業式にはぴったりだと思った。

窓の外を見る。

すっかり雪も溶けて、

木には蕾も付き始めている。






「散歩…行こっかな」





コートを羽織り、

玄関を出る。

今頃隼人は、卒業式か。

校長先生の話、

聞いてるのかな。

クラスのみんなも、

無事卒業出来たかな。

最後にもう一度…。





「え、」





そう考えてたら。

いつの間にか辿り着いていた。

あたしの、思い出の詰まった、

隼人のいる高校に。






「こんなに歩いた、かな…?」





あたしの家からここまで、

結構距離がある。

けれど、歩いた実感はない。

時計を見てみると、

まだ式の真っ最中で。

外に誰もいないことをいいことに、

校門の前を横切る。





「遅っせーな」





聞き慣れた声。

あたしは、一瞬歩みを止め

思考をフル回転させる。





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