一緒に、歩こう
え?え?え?
まだ卒業式の途中だよね?
え、何で、聞こえるの?
何で。
「隼人、何して…るの」
玄関と校門の真ん中辺りに、
見慣れた姿がある。
隼人は胸元に卒業生という
字の書いた花をつけて
こっちを見て。
「待っててやった」
そう言って、笑顔をくれた。
「まだ式の途中じゃ…」
「何か知らねえけど、予定より早くなったって。最後訳わかんねー話してっから、出て来た」
「あ、あのね。卒業式なんだから、話が長くて当たりまっ…」
「しーっ。最後までごちゃごちゃ言うな」
しーっ、なんて。
あたしを子ども扱いしてるのかしら。
「俺は。賞状1枚よりお前のが大事だ」
その時。
ポケットの中に入っている
携帯のバイブが鳴った。