一緒に、歩こう
「もしもし」
『朝比奈先生?あたし、中西だけど』
担任からの電話に
緊張が走る。
荷物の話かしら?
それとも説教?
「お疲れ様です」
『どこにいるの?今日は卒業式でしょ?』
「え、でもあたしはもう…」
担任は少し笑って。
『あなたの辞表は無くなったわ。クラスの生徒たちが校長の所に駆け寄ってたわ。事情は後で。今日は卒業式よ。最後くらい顔出しなさい』
ぷつり、と。
何も言わず担任は電話を切った。
どういう、こと?
クラスの…生徒が?
「お前、クラスのやつらに好かれてんだな」
「…何で、」
「1人で、責任感じてんなって」
そこへ。
遠くから声が聞こえる。
玄関の奥から、
クラスの生徒たちが
走り寄って来ている。