一緒に、歩こう
「え…、あの」
「あ、時間やばい!じゃ、矢野のこと頼んだわよ!学校には私から伝えておくからね!」
そう言うと、あたしが用意した
プリントを手に取って
職員室を出て行った。
残されたあたしは、
あんぐり口を開けて
立ち尽くしてしまう。
…はて。
あたしってば、
またこんな目に合うのか。
…何やったのよ、矢野隼人。
はぁ、と溜息をついて。
あたしは鞄と車の鍵を手に
職員室を後にした。
「遅くなりました!川西高校の職員ですがっ」
「どうもご苦労様です。さ、こちらへ」
少し中年のおじさんに
連れられて奥に向かう。
小さな個室のイスに、
深々と座っている矢野くん。