一緒に、歩こう





「え…、あの」




「あ、時間やばい!じゃ、矢野のこと頼んだわよ!学校には私から伝えておくからね!」







そう言うと、あたしが用意した

プリントを手に取って

職員室を出て行った。

残されたあたしは、

あんぐり口を開けて

立ち尽くしてしまう。

…はて。

あたしってば、

またこんな目に合うのか。

…何やったのよ、矢野隼人。

はぁ、と溜息をついて。

あたしは鞄と車の鍵を手に

職員室を後にした。





「遅くなりました!川西高校の職員ですがっ」





「どうもご苦労様です。さ、こちらへ」




少し中年のおじさんに

連れられて奥に向かう。

小さな個室のイスに、

深々と座っている矢野くん。



< 49 / 497 >

この作品をシェア

pagetop