一緒に、歩こう
「いや、だから。内緒で受験してたんだって」
「内緒で。って…。しかもここ、すごい偏差値高いんじゃ…」
「だから勉強してたんだろーが」
要するに。
九州の方には行かなくて。
ってことは。
遠くに行かないってことで。
「じゃあ。じゃあ…ずっと近くにいる?」
「いる。絶対どこにも行かない」
近くにいる。
そう聞いて、それが現実味が
ないあたしは。
驚き過ぎて涙も出なかった。
「だから」
「ん?」
「俺と一緒に住もう」
「一緒に…住もう?」
あたしの家の前に着いた時。
そんなことをいきなり隼人は
言い出した。
「俺大学生になったら家出ることにしたから。だから、俺の家で一緒に暮らそう」
一緒暮らそう。
一緒に住もう。
と、いうことは。
「隼人と…ずっと一緒?」
「当たり前だ。離してなんか、やんねえからな」
家の前なのに。
隼人はあたしを抱きしめて
そう言った。
やっと、状況が呑み込めたあたしは。
目から涙が出た。
「いい、…の?」
「いい。っていうか、決定だから」
「あり、がとう…」
こんなにも大切で、
こんなにも愛しいあなたに。
あたしはどうしようもないくらい
恋をしています。