一緒に、歩こう
「った、頼む!言わないでくれ!」
必死に懇願する、
あたしの手を掴んでた男。
「じゃあ今すぐ消えろ。もう手出すな」
低く、怒りのこもったような
声色の矢野くん。
3年の生徒は、鞄を持つと
逃げるように階段に向かった。
「次見つけたら確実殺るから」
その言葉を聞いて、
悪かったと詫びた。
「隼人、先行ってっぞ」
永井くんは、そう言うと
残りの男子生徒を連れて
階段を下りて行った。
「……、矢野くん、」
「何してんだよ、こんな所で」
呆れたような声で、
あたしに話しかける。