一緒に、歩こう




職員室に走っていく。

後ろで何か言ってたけど、

相手にしてられない。

あたしの保身の方が優先。

彼には大事な人がいる。

でも諦めきれない自分に、

同情をかける。

あたしって人間は、

どこまで堕ちていくんだろう。

好きな人に好きに

なってもらえなくて。

想いは届かないのに。

あたしの一方通行の

想いだけが突っ走る。

それでも、やっぱり。

矢野隼人が好きだから。

諦められないから。

せめて、放課後に

帰る姿が見られたらそれでいい。

せめて、授業中に

寝ている彼を起こす瞬間だけ

関われればそれでいい。

そんな小さなことだから、

どうか神様奪わないで。

あたしは切にそう

願うしかなかった。






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