一緒に、歩こう




「…、土屋くんは?」




「もうすぐ着くって。あいつも寝てた」



「でしょうね…、早く教室行って鞄置いてきて?」





はいはい、とダルそうに

立ち上がって下駄箱に向かう。

あたしはというと。




「くぅ…っ」




朝から話せたこととか、

電話したこととか、

色々なことがあって

もう嬉しくてたまらなかった。




「どんだけばかなの、あたし…」




自分で自分に呆れる。

あたしは土屋くんが来たのを

確認すると、さっきいた

グラウンドに戻って

準備を始めた。

遅れてきた2人は、

体育科の先生方に捕まって、

重たいテントの鉄の部分とか

本部の机とかを運ばされていた。

矢野くんはあたしとすれ違う度に

「お前も持て」とか、

「手伝え、ばか」と

文句をこぼしていった。

こんな少しの会話だけど、

あたしと矢野くんだけの会話。

それだけで嬉しくて仕方なかった。



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