一緒に、歩こう




矢野くんは終始、

ダルそうにしていて、

たまにあくびをもらす。

そんな姿にあたしは、

1人にやけてしまう。

騎馬戦は各色ごとに

対戦するもので、

勝ち上がった2組が

決勝をして1位を決める。





「位置について」




矢野くんのいる2組と、

4組が勝ち残り1位決定戦へ。

ピストルと同時に、

さっきより大きな歓声が

グラウンドに響いた。

あたしは他のどの生徒よりも

矢野くんしか見えない。

彼なりにクラスに協力

している姿に胸を打たれる。

そんな彼に見惚れていた時。

お互いが強くぶつかって

崩れ落ちてしまった。




「嘘っ…、」




あたしは誰よりも先に、

グラウンドの中央へ向かった。

< 82 / 497 >

この作品をシェア

pagetop