一緒に、歩こう
昼食休憩をはさんで、
午後の部が開始された。
保健室に行った矢野くんは
未だ姿を現さない。
本部で、
体育祭の様子を
見ていた時。
「朝比奈先生、矢野知らない?」
担任の先生が、
そう訪ねて来た。
「矢野くんなら保健室に行きましたよ?」
「悪いんだけど呼んで来てもらえない?もうすぐリレーだから」
リレー、の単語を聞いて
さっきのことが頭に
よみがえる。
「矢野、あれでもすごく足速いし。あいついないと2組負けちゃうからね。頼んだよ!」
言い逃げ、と言うのが
相応しい形で、担任は
本部からどこかへ走り去っていった。
「何で、あたしなの…」
そうぶつぶつ文句を
言いながらも、
上げる腰は軽い。