一緒に、歩こう
「矢野、ほんとすごい。何であの力が普段の生活に活かせないかな」
彼の名前が出て、
体が反応する。
「逆転勝利だったからね。リレーのおかげで」
1位と2位の差はわずか10点。
リレーが終わるまでは、他の色が
勝っていたけど、リレーで
1位を取ったから総合1位を
取ることが出来た、と。
さっき他の先生から聞いた。
「ま、矢野はすごかった。来年は絶対見てね、朝比奈先生!」
「分かりました」
担任は、他の生徒の
手伝いに行った。
1人になったあたしは、
ぼんやり考える。
来年には、あたし
どうなってるのかな。
このまま矢野くんを
好きでいるのかな。
矢野くんは、まだ
春野さんといるのかな。
あたしのこの学校に
いられるのかな。
そんなことを、
ずっとずっと延々と
考えていた。