恋は陽炎 ~道化師の初恋~
 奈々が顔を向けたほうを見ると、大学生らしき男達のグループが席を埋めてしまっていた。 

「残念だったけど、そのお陰で亜美菜ちゃんとこうやってお話出来てるんだから結果オーライだよね」

「あ、私もです」

 

 そろそろ閉館する時間が迫ってきた。 
 亜美菜と違って勉強していた奈々は、じゃあ、帰ろうかと言って席を立った。 急いで本を棚に戻し、奈々の後を追わないとと思ったが、出入口付近で奈々は待っていてくれた。
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