恋は陽炎 ~道化師の初恋~
 それから返信は無かった。半分気に掛かりながらも奈々と一緒に勉強を進め、時にはお喋りをし、有意義な時間の中に喜びを感じていた。 

「良かった。まだ居たんだね」

 それは唐突だった。まさか、メールの返信もせずにここにやって来るなんて思ってもいなかった。

「どうしたの、いきなり?」

「いきなりじゃないよ。ちゃんとメールで確認したじゃん」

「来るって言わなかったし」

「そんな細かなことは気にしなくて良いよ」


「気にするよ」


「それより、家に来ない?勉強してるみたいだから、それだったら家でやれば良いし」
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