恋は陽炎 ~道化師の初恋~
「ヒロくん、遅いなあ・・・何してんだろ?」

 いつもならほぼ同時にこの場所に集合するのに、今日に限って遅れるなんて。 
 亜美菜のドキドキは妄想を膨らませる一方であった。 

 目の前を通り過ぎる生徒がいる度に目立たぬように背を向け、忠犬ハチ公になった亜美菜はじっと待った。 

 一時間が経過しても二時間が経過してもヒロくんは現れない。 

 その間、三回も送信したメールも音信不通のまま。 
 これって、もしかしたら病気で休んでるってこと? 
 メールの返信も出来ないほどの重体なんだ、きっと。 

 ヒロくん、早く良くなってね。
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