恋は陽炎 ~道化師の初恋~
 丁寧に書いて貰った地図は分かりやすく、初めての土地でも迷うことは一度まなかった。 

「ここか」

 一戸建てとは聞いていたが、意外とこじんまりした建物で、猫の額よりは大きいがやっぱり狭い庭らしきところには、もみじらしき木が一本だけ植えられたシンプルと言えばシンプルな白い家であった。 

 亜美菜は、物怖じすることなく玄関の前に立つと、少しばかり旧式なインターホンを人差し指で押した。
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