恋は陽炎 ~道化師の初恋~
 亜美菜は返事に詰まった。はい、とも言えずに。 


「じゃあ、借りるね」



 優しい笑顔で去って行く背中。亜美菜は、走った。静かな室内に響く足音。 


「その本。ページが破れてるんです。だから、借りないで。借りないで下さい」



 亜美菜は叫んだ。
< 22 / 201 >

この作品をシェア

pagetop