恋は陽炎 ~道化師の初恋~
 私は、自転車泥棒と叫び、図書館の中に逃げ込んだ。 


 幸い、後を追って来ないようで、私は雑誌コ―ナ―の長椅子に腰を下ろした。


 暫くは、帰れないな。私は諦めるかのようにそう思った。


 吹き出す汗が止まらない。ハンカチで顔、首筋を拭うと、ハンカチはすぐに重さを増した。
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