幽霊の思い出話

「あんたも行くんだろう?」

「あぁ。井上さんも総司(ソウジ)も行くだろうよ」

 二人を探すと道場の隅で竹刀を振っていた。

「まぁ、ここに居る大半の人間は行くだろうな」

 土方さんはそう呟いたあと、道場の外へと出て行った。

 近藤さんの志に賛同してこの道場に出入りしている者は多い。だから彼が行くというなら、ついていくという考えがほとんどだろう。

「忙しくなりそうだねぇ」

「そうだな」

 新八と二人でぼんやり座り込んだまま、皆の様子をただ眺めていた。
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