幽霊の思い出話

 近藤さんの重大発表の数日後、俺たちは正式に公募に参加表明をした。

「左之」

 道場の外にある縁台に座り稽古を休憩していると、近藤さんが声を掛けてきた。

「近藤さん、どうしたんですか?」

「いや、何でもないんだが。何か考え事しているのかと思ってな」

「んー、考え事ってほど大層なものじゃないですよ」

 公募内容の上洛について、少し考えていただけ。

「あのな、左之。もしかして上洛について、何か思うことがあるんじゃないか?」
< 105 / 279 >

この作品をシェア

pagetop