幽霊の思い出話
近藤さんの重大発表の数日後、俺たちは正式に公募に参加表明をした。
「左之」
道場の外にある縁台に座り稽古を休憩していると、近藤さんが声を掛けてきた。
「近藤さん、どうしたんですか?」
「いや、何でもないんだが。何か考え事しているのかと思ってな」
「んー、考え事ってほど大層なものじゃないですよ」
公募内容の上洛について、少し考えていただけ。
「あのな、左之。もしかして上洛について、何か思うことがあるんじゃないか?」