幽霊の思い出話

「えっ?」

 どうしてこうこの人は変に鋭いんだろう?

「いやな、無理矢理付き合わせてるんじゃないかと・・・、こう考えたりするわけだ」

「いや、そんなことないですよ」

 そう、無理になんて考えてない。いざとなったら逃げることだって可能なんだから。ただ上洛したら何が待っているのかと少しの不安がある。

「なら良かった。俺は本当に感謝しているんだ。何人もの門下生たちが一緒に上洛してくれると言ってくれて」

「それは近藤さんの人柄ですよ。ついていこう、世話になった恩返しをしようって考える人間が居るんですよ」

「ははっ、なんか照れくさいな」

 近藤さんは頭を掻きながら耳まで赤くしていた。
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