幽霊の思い出話

 この人のこういう素直なところが好きなんだ。だから俺はついていく。上洛に不安があったってこの人が居たらなんとかなりそう、そんな気がする。

「ありがとうな。ん?どうした?左之?」

「いや、近藤さんって嘘つけそうにないですよね」

「嘘はいかんだろう、嘘なんてついたっていいことなんてなんだからな」

「ははっ、そうですね」

 少年のような近藤さんは出会った頃と変わらない。何もない、どこの誰かもわからない俺をあっさりと受け入れ、試衛館の出入りを許してくれた。

 この人の懐の深さには感服する。

「近藤さん」

「うん?」

「やれるとこまでやりましょうね」

「・・・あぁ」
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