幽霊の思い出話

 そして、二月になり、俺たちは近藤さんを中心とし、浪士組として京都を目指した。

「京都かぁ、楽しみだな」

「平助(ヘイスケ)は初めてか?」

「初めてだよ。左之さんは?」

「俺は藩から逃げ出したあとうろうろしてたからその時に行ったかな」

 そう言うと、弟のような平助はへぇー、と相槌を打っていた。

「皆、ここでちょっと待っていてくれ」

 近藤さんが大声でそう言ったあと、どこかに去っていった。

「それにしても公募にかなり集まったんだな」

 新八が周りを見渡しながら言ったのにつられて一緒に周りを見た。
< 108 / 279 >

この作品をシェア

pagetop