幽霊の思い出話

 それにしてもいつまでここに立ち止まっているつもりなんだろうか。もうすぐ宿のはずだが・・・。少し気になって新八と平助を連れて、先頭の方に足を運んだ。

 よく見ると宿はすぐそこだった。

「どうした?何か様子がおかしくないか?」

 近藤さんと土方さんが誰かに向かって騒いでいるのが見えた。

「総司、どうしたんだ?」

 近くに居た総司に新八が声を掛けた。

「どうもこうもないですよ。宿をとっておいたはずなのに、芹沢さんの宿がとれてないって」

「はぁぁ?なんでそんなことになってるんだよ」

 新八が驚き、声を荒げた。

 芹沢さんの宿ってなると面倒極まりないだろうな・・・。そう思った。
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