幽霊の思い出話

 次第に周りがざわつき始めた。

「土方さん、どうする?」

 思わず駆け寄って、声を掛けた。これ以上騒ぎにするのはまずい。200人以上もの浪士が居て目立っているのに、早くどうにかしないと・・・。

「どうもこうもねぇ。空けてくれって頼んでるんだが全然聞いてくれねぇんだ」

「それって野宿しろってことかよ」

 呟いた後、思わず絶句した。その時だった。

「おい、いつまで待たせるつもりなんだ」

 ドスの効いた声が背後から聞こえた。
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