幽霊の思い出話
「左之。悪いが宿役人を呼んできてくれないか。ここに居る連中じゃ話にならねぇ」
土方さんが軽く舌打ちをしながら頼んできた。いらつくのも無理はない。土方さんは近藤さんのことを慕っている。なんとしてでも近藤さんを武士に、世に名を残すほどにしたいんだという土方さんの願いを俺は一度聞いたことがある。そんな土方さんだからこそ、今この状況は許せないだろう。
「わかった」
「あっ、俺も行くよ」
平助がそう言って俺のあとを駆けてきた。
土方さんのやるせない気持ちはきっと試衛館の皆一緒だ。