幽霊の思い出話

「何故そんなに空白の部分があるの?」

「分からない。気がつくとこんな体でこの時代になっていた」

 苦笑いしながらも、思い出すように詳しく話してくれた。

「最初は誰に話しかけても答えが返ってこなかった。気づいてなかったんだ、自分が幽霊になってることに。変なものが走ってたり、話し方が違っていたり、服装が変わってたり、町並みなんて別物。あの時とは全く違う時代を見て、どこかの異国に来ただけだと勘違いしてた」

 百五十年前と五十年前じゃ、世の中はかなりかわっていただろう。今と五十年前でもかなり違うのに。

「しかも誰かにくっついてないと、動けないんだ」

「動けない?」
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