幽霊の思い出話
「近藤さんきついだろうな」
「仕方ない。これがあの人の仕事なんだから」
山南さんは自分に言い聞かせるかのように呟いていた。
計算の苦手なあの人が、任された先番役割を必死に頑張っていたのを俺たちは知っている。
その努力を、大衆の前で罵り蔑んだ。俺たちはこの人とは合わない。ついていけないし、ついていきたくもない。そう思った。
「皆悪かったな。巻き込んでしまった」
そんな申し訳なさそうに笑うなよ。
「近藤さん、俺たちは仲間です。気にしないでください」
そう言うと、目頭を抑えながら「ありがとう」と近藤さんは言った。
頑張ろう、近藤さん。