幽霊の思い出話

「皆、こっちだ」

 先についていた近藤さんが手招きをし、俺たちを呼び寄せた。

「近藤さん一体どうしたんですか?」

「あぁ、なんでも話があるらしくてな」

 少し引きつったような顔をしていた。きっと皆薄々気付いている。ここに呼び出されたのは、いい話をするためではないという事を。

「おほんっ。集まったかね?」

 少しして、清河さんが浪士組の前に現れた。

 それまでざわついていた空気が急に静まり、清河さんの声だけが聞こえた。

「はるばる京に来てもらってご苦労だった。京へ来たのは近く上洛予定の将軍家、茂公の警護のため・・・、となっていたがそれはただの名ばかりだ」

 その言葉を発したあと、周りからざわつきが起こった。
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