幽霊の思い出話

「はぁ、一体どうなってやがんだ」

 横に居た新八が苦々しく舌打ちを打っていた。俺たちも皆驚いていた。

「私の本当の目的は将軍警護でなく尊王攘夷の先鋒にある。天皇の命令を妨げるものは幕府の役人といえども許す気はない。そこでだ、この建白書に署名を頼みたい。異存はないだろう?」

 そう言って皆の前で、建白書を広げた。

「なっ、すでに建白書用意してるのかよ」

「完璧にこの人数を利用したんでしょうね。将軍の警護を餌に」

 山南さんが新八の隣でそう言った。

「ねぇ、どういうこと?」

 平助がよく分からないといった顔でこっちを見ていた。

「我々に警護をさせるつもりはない、ということだね」

「えっ、じゃあ、それって」

「あぁ、ハナっから警護なんてどうでもよかったんだろうよ」

 新八が投げやりに言い放った。むしゃくしゃする気持ちよくわかるよ。
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