幽霊の思い出話
「へぇ、芹沢さん、まともなこと言うんだな」
「おい、新八」
新八の頭を小突きながらも、同じこと思っていた。芹沢さんがそんな風に言うなんて想像もしていなかった。
「芹沢さんの言うとおりですな」
それまで黙っていた近藤さんが立ち上がった。
「いやぁ、言おうと思っていたこと言われてしまいましたな、はははっ」
近藤さんは頭を掻きながら笑ってみせた。俺たちの不安をかき消すように。
「清河さん、俺たちは将軍様の警護のため上洛したんです。決して清河さんに従うために、はるばる上洛して来たわけではない。将軍様が上洛するまで私たちはこちらに残る。だが幕府の命で江戸に帰れというなら、喜んで帰ろう」
芹沢さんに負けない大きな声で、ハキハキと近藤さんは話した。