幽霊の思い出話

 それから少しして、清河さんは署名をさせた残りの何人かの浪士組たちと帰っていった。ただ、幕府を裏切っていると気付かれた以上、きっと無事には帰れないだろうが・・・。

「近藤さん、俺たちは一体何をしてここですごせばいいんですか?」

 毎日この家に居るわけにはいけない。食いっぱぐれるだけだ。かといって京で勝手なことも出来ない。

「あぁ、そのことなんだが嘆願書提出の時に、京の治安を守るために働かせて欲しいと申し入れていたんだ。清河さんたちも帰ったことだし、明日からでも働こう」

 ポンっと俺の肩を叩き、共に頑張ろうと近藤さんは言った。きっと今この人は自身の夢に向かって頑張ろうとしているんだろう。

「町の警護ですね。頑張りましょう」

「平助、総司、頑張ろうな」

 近藤さんは続々と皆に声を掛けていった。
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