幽霊の思い出話
考え込むように黙ってしまった。ちょうど信号が赤になり車を停め、左之の顔を見た。
「考えてなかった?」
「いや、考えてなかったわけではないんだけど、いざこう言いたいことを聞かれると、何から話していいものか悩んでしまってな」
左之は照れたように顔を反らし、着物の袖で顔を隠そうとしていた。
「あはは、そんな左之初めて見た。緊張してるんだね」
「緊張?そうかもしれない」
顔を隠したまま、窓の外を見る左之は少し雰囲気が違っていた。何年、いや、何十年何百年ぶりの再会できるかもしれない気持ちは、計り知れないもの。再会出来るなんて分からないけど、墓石の前に立てれるだけで左之にとっては何か思うところがあるんだと思う。