幽霊の思い出話

「これからよろしくな、真沙美」

 向き合った彼の目をじっと見つめていると、彼はすぅっと動き、私に重なるように通り過ぎた。その瞬間全身に悪寒が走った。

「うわっ、何かぞくぞくってした」

 思わず両腕を擦った。

「憑いたからな、多分それでだろう」

「ねぇ、勝手に憑いてるところ申し訳ないんだけど、あなたが憑いて私に何か害があったりするの?」

 もし何かあるなら、早々に離れてもらわなければ・・・。大体私はなんで何も言わずに彼を受け入れてしまったんだろう。もっと拒否すればよかった。
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